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【本文Q&A】記述式がうまくいかない

「記述式で答える」ときの必要プロセス

多くの教科書の本文には、「本文を読んで質問に答えましょう」という設問があります。たとえばこんな感じです。

  • …はどうしてですか
  • …とは何のことですか
  • 筆者は何が大切だと言っていますか

そして、答え方は記述式というパターン。

記述式で答える場合、学習者は次のようなタスクをすることになります。

  1. 本文の該当箇所を探す
  2. ノートや教科書に答えを書きだす
  1. 全部ダラダラ抜き出すのではなく、簡潔にまとめる
  2. 答えの文末を、問いに対応した形にする(例:~から、体言止め)

(最後の2つは、2に続く作業というより、解答の精度の話ですね)

3、4まで、できるのが理想ですが、実際は「2まで」という場合もけっこうあるのではないでしょうか。

記述式の「困った!」

該当箇所を抜き出せても、実は、その文の意味を正確に読み取れていない、ということがあります。逆に言えば、読み取れていなくても、抜き出せる場合があるということです。また、ほかにも、次のような点を課題に感じていました。

  • 学習者が本文から必要以上にダラダラと抜き出してしまう
  • 一生懸命抜き出した部分が、答えからずれてしまっているという場合がある
  • 机間巡視の際に、各人の答えを確認するのに時間がかかってしまう
  • 全体での答え合わせの際、答えを発表してもらうのに時間がかかる

こんな事態への対応として、よくやっていたのが、選択式問題に変更するという方法です。

選択式のメリット

選択肢の準備は必要ですが、次のようなメリットもあります。

  • 選択肢があるので、はじめからあきらめる学習者はいない
  • すぐに学習者の理解度を把握できる
  • 答え合わせも簡単
  • JLPTの練習にもなる

実際の例の紹介

以下は、『中級を学ぼう中級中期』p.24の「読もう」での実践例です。
6行程度の文を読んで、2つの質問に答えるというものです。教科書には、答えの選択肢はないのですが、abcのような選択肢を作ってみました。

①具体的な省エネ効果は何ですか。
a. 室温の上昇が抑えられる。
b. 少ない光でも植物がよく育つ。
c. エアコンの使用量が減る。

②緑のカーテンには省エネ効果のほかにどんな効果がありますか。
a.心が元気になる効果     
b.植物が元気になる効果

②の正しい答えはaですが、bを選んだ学習者が半分ぐらいいました。

おそらく、この問題は記述式にすれば、教科書から抜き出す形で、多くの人が「それと同時に、植物を育てるといういやしの効果もある」という答えを導き出せていたと思います。

でも、答えを抜き出せたとしても、それがaの意味なのか、bの意味なのか分かっていなかった可能性があるわけで…。

「記述式がうまくいかない」と感じている場合は、選択式への変更を試してみてはいかがでしょうか。