多くの教科書の本文には、「本文を読んで質問に答えましょう」という設問があります。たとえばこんな感じです。
そして、答え方は記述式というパターン。
記述式で答える場合、学習者は次のようなタスクをすることになります。
(最後の2つは、2に続く作業というより、解答の精度の話ですね)
3、4まで、できるのが理想ですが、実際は「2まで」という場合もけっこうあるのではないでしょうか。
該当箇所を抜き出せても、実は、その文の意味を正確に読み取れていない、ということがあります。逆に言えば、読み取れていなくても、抜き出せる場合があるということです。また、ほかにも、次のような点を課題に感じていました。
こんな事態への対応として、よくやっていたのが、選択式問題に変更するという方法です。
選択肢の準備は必要ですが、次のようなメリットもあります。
以下は、『中級を学ぼう中級中期』p.24の「読もう」での実践例です。
6行程度の文を読んで、2つの質問に答えるというものです。教科書には、答えの選択肢はないのですが、abcのような選択肢を作ってみました。
①具体的な省エネ効果は何ですか。
a. 室温の上昇が抑えられる。
b. 少ない光でも植物がよく育つ。
c. エアコンの使用量が減る。
②緑のカーテンには省エネ効果のほかにどんな効果がありますか。
a.心が元気になる効果
b.植物が元気になる効果
②の正しい答えはaですが、bを選んだ学習者が半分ぐらいいました。
おそらく、この問題は記述式にすれば、教科書から抜き出す形で、多くの人が「それと同時に、植物を育てるといういやしの効果もある」という答えを導き出せていたと思います。
でも、答えを抜き出せたとしても、それがaの意味なのか、bの意味なのか分かっていなかった可能性があるわけで…。
「記述式がうまくいかない」と感じている場合は、選択式への変更を試してみてはいかがでしょうか。