皆さんは、ローマ字表記で迷ったことはありませんか?
少し前のことですが、日本語の入門クラスを担当しました。そこでは、自作プリントにローマ字表記が必要な場面がありました。
最後にローマ字で教材を作ったのはいつだったか思い出せないぐらい昔のことで、いざローマ字で書こうとすると、長音の表し方(arigatoo なのか arigatou なのか)やスペースの扱いの部分で、手が止まってしまいました。ほかにも、ハイフンの活用(例:Tanaka-san)について何かルールがあるのかなど、いろいろ気になる点がありました。
今回の記事では、そのときに参照したサイトを紹介します。
本題に入る前に、プリントを仕上げた手順を整理しておきます。
以下では、微調整をすすめる上で参照したサイトを3つ挙げていきます。
まずは、まるごとの教師用リソースにある「ローマ字表記の規則」です。
https://marugoto.jpf.go.jp/teacher/resource/starter_c
いろいろ細かい記述があるのですが、長音については以下の記述がありました。表の部分から引用させていただきます。
長母音は母音を重ねて次のように表記する。
aa、ii、uu、ee、oo例:おかあさん(okaasan)、とけい(tokee)
この資料の中には、Ⅳ 「アニメ・マンガのにほんご」ローマ字表記との比較 という項目もあります。それによると、「アニメ・マンガのにほんご」(https://www.jpf.go.jp/j/kansai/clip/anime)では以下のようになっているとのことです。
長音は基本的にひらがな表記に従う。お段の長音も「u」で表示 する。
例:よかろう→yokarou
「まるごと」サイトの「ローマ字表記の規則」には、長音以外にもいろいろ規則が書いてあるので、参考になると思います。
分かち書きについては、【にほんご これだけ!】のサポートサイトにも記述がありました。
【にほんごこれだけ!】サポートサイト
隠れ文法の使い方 ver1 小冊子作成用(2016.8.7) 付録:分かち書きルール
プリント作りの際に直接的に参照したのは、上記の2つのサイトですが、ネット検索中に興味深い論文に出会うことができました。
小林 ミナほか. 会話教材におけるローマ字表記 : 英語/イタリア語の母語話者を事例として. 早稲田日本語教育学 = Waseda studies in Japanese language education. (19):2015.12,p.1-19.
https://cir.nii.ac.jp/crid/1520572357718503552
日本語教科書におけるローマ字表記が概観されていて勉強になりました。以下の部分で現状を概観し、その後、日本語教育におけるローマ字表記に関する問題が2点指摘されています。
2.2 日本語教科書におけるローマ字表記
2.3 日本語教科書のローマ字表記の役割
問題点について指摘されている部分を引用させていただきます。
1 つ目は、そのローマ字表記が「音として理解、産出すること」を目的としているのか、「文字として出力すること」を目的としているのかが、峻別されていないということである。
自分では深く考えることもなく、機械的にネットで調べてしまった私ですが、「何のためのローマ字表記なのか」という視点が抜けておりました…。論文での指摘を読んで、その視点を持つことの重要性を認識できました。
以上、今回は私が調べてみて、参考になったものを紹介させていただきました。
どなたかの参考になれば幸いです。